地域適応策を支援する社会技術

適応自治体フォーラム(コデザインワークショップ)

SI-CATで社会実装機関の役割を担う法政大学では、気候変動適応策に関するシーズとニーズのマッチングを目指したコデザインワークショップとして「適応自治体フォーラム」を毎年1回、終日のイベントとして3年にわたって開催してきています。関係する部局に所属する全国の自治体行政職員と、地方環境研究所およびSI-CAT技術開発機関の研究者に参加していただき、気候変動適応技術や政策動向に係わる最新の話題提供や直接的に意見交換を行うワークショップ(WS)などを行うものです。

年を追って参加者が増え(第3回は約150名)、環境省や自治体の環境部局だけでなく、関係する様々な省庁や自治体の様々な部局からの参加も増えています。なおWSは、環境、河川・防災、農業、健康の分科会を設定し、それぞれの分野別に関係する行政職員3〜6名、地方環境研究所数名ずつとSI-CAT技術開発機関3〜6名ずつ程度にファシリテーターで1つのグループを構成し、残りの参加者は周囲から傍聴するような形態を取っています。表に記されているとおり、各回の目的やWSでのお題も変遷しています。

第3回は、「気候科学技術・データの自治体行政への実装化プロセスの検証と課題を明らかにする」ことを目的として掲げ、WSでは「現在の影響・ニーズとシーズの相互理解」「昇温時(今世紀中頃)を想定した場合の影響想定と課題の検討」「仮想的な適応策(計画)案の検討」について、SI-CATモデル自治体等による社会実装の経験・事例紹介を交えながら議論が進められました。気候変動適応法の施行が迫り、自治体の適応計画策定の努力義務や地域適応センターの検討が求められてくる中で、適応計画全般分科会ではこれらに資することを意図した課題設定とし、それ以外の分科会ではSI-CATモデル・ニーズ自治体の経験がWSの中で密に共有されるよう、WSに多くの時間を配分するようにしました。

参加者からは、今後も適応自治体フォーラム(コデザインワークショップ)の開催の継続を望む声が非常に多く寄せられています。もちろん2019年度も開催する予定ですが、その内容についてはこれまでに振り返ってきたことを踏まえて検討する必要があります。また、全体を通しての感想や要望として、「自治体・研究者相互の連携構築」、「研究者情報のデータベース化(SI-CATの専門家+α)」、「多様な地方環境研究所のレベルに応じた地域適応センターのあるべき姿の提示」といったご意見もいただいています。これから自治体の適応計画の更新が進み、地域適応センターの検討が本格化する中で、専門家と行政をつなぐプラットフォームとして、適応自治体フォーラム(コデザインワークショップ)をより効果的に機能させるのはどうすればよいのかについて、考えていきたいところです。

適応自治体フォーラムの様子

図 適応自治体フォーラムの様子

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