地域適応策を支援する社会技術

テキストマイニングによる議論内容の可視化

気候変動適応策に関するシーズとニーズのマッチングを目指して、法政大学が開催した第1回適応自治体フォーラムでの発言録に対してテキストマイニングを実施し、話し合われたテーマを特定するとともに、自治体行政や地方環境研究所、技術開発機関の所属によるテーマへの言及の傾向の違いを可視化した事例を紹介します。

テキストマイニングとは、テキストデータを計算機で定量的に解析して有用な情報を抽出するためのさまざまな方法の総称です。同分析手法を用いることで、大量のテキストデータを統一的な視点から分析することができます。

まず、発言中で同時に言及される頻度が高い語を分類し、分類された語群から話し合われたテーマの推定を試みました。その結果、同フォーラムでは、たとえば「研究成果の精度」や「対策の優先順位」「他部局への説明」などのテーマが話し合われたことを定量的に把握することができました。

また、把握したテーマへの言及の傾向の違いを参加者の所属ごとに把握するために、各所属の参加者の発言回数と各テーマが言及された頻度を円の大きさ、各所属が言及したテーマの件数を円と円を結ぶ線の太さとしてネットワークグラフを描きました。その結果、たとえば自治体行政の職員は「人事異動と他部局との連携」や「他部局への説明」のテーマについて多く言及していることを視覚的に把握することができました。

これらの研究成果は、自治体行政職員と地方環境研究所や技術開発機関の研究者との間の情報共有支援や、議論の内容の客観的な提示に活用することができます。

議論内容の可視化のフロー

図 議論内容の可視化のフロー

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